92、日本にアウトバーンを

ミュンヘンからはドイツ国内のアウトバーンを利用してハンブルグまで移動していく。ルートは簡単で3回ほどインターチェンジすれば着くので迷いようがない。

(僕の車は遅く見えるが140キロで走っている。こんな感じで追い越される)

ところでドイツのアウトバーンの速度無制限は思ったより厳格なルールで成り立っている。3車線の一番左の追い越し車線は「無制限」真ん中は「140キロ」程度、右は「100キロ」程度で流れている。日本のように100キロで走っているトラックを少し早いだけのトラックが延々と真ん中車線をふさいで走ったりしないし、140キロ程度の真ん中車線組が不用意に一番左の「無制限」にレーンチェンジをしない。140キロで走っているすぐ隣を200キロで追い越していくのだから日本人からしたら恐ろしい空間だ。ほぼ全員が自分の車の限界値で走ることになるが、慣れてくると非常にスムーズに走ることができる。

真ん中の140キロレーンを走るとわかるが、普通の車は上り坂になるとエンジンはシフトダウンしてレッドゾーンにまで引っ張ることになる。僕の重いバイクを積んだ日産のNV200はものすごい唸り声を上げて走っていく。

アウトバーンでは速い車はいくらでも飛ばしていいので追い抜き車線では180キロや200キロは普通なのも凄い。追い越し車線は、フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ、ベンツ、BMW、アウディ、その他メーカーの高級SUVやスポーツカーなどのかっ飛びエリート車の所有者用。真ん中は、その他一般車の所有者用。右側は古い車、トラック、バス、キャンピングカーの所有者用と決められているようで面白い。乗っている人の技術の問題でなく、所有している車の最高速度で分けられているのも合理的。

真ん中の一般車用が一番カオスで、様々な車が走っている。ちょいちょいエリート様専用の追い越し車線に興味本位で入っては、後ろからぶっ飛んでくる本物に追い出されている。このアウトバーンで一番素晴らしいと思ったのは、3車線の一番左の追い抜き車線には絶対にトラックやバスは入ってこないこと。ほとんどのトラックはトラック同士の追い越しはせずおとなしく右車線を走っている。もし走行妨害をして事故でもしたらエリート様の怒りを買い法外な請求がくるのかもしれない。日本の追突したら後ろが必ず悪いという法律も変えて欲しい。ヨーロッパでは意外かもしれないが侵入車線より走行車線が優先なので、横から侵入してくる車に対してスピードを緩めたりしない。日本と逆で戸惑ったが、全体のスピードを変化させないことが渋滞を招かないという合理的な考え方だ。ここでも遅い車は走行妨害しないという考え方がでてくる。

僕の車は150キロが限界なので、真ん中をおとなしく走っていたが、ふと魔が差して追い越し車線を試してみた。するとバックミラーになにも写っていないのに数秒後には真後ろにエリート様がいてその2・3秒後にはパッシングの嵐を受けていた。あわてて車線変更するのだが、限界で飛ばしていると車がよれて車線変更がもたもたする。その間エリート様は冷ややかにその醜態を見下しながらこちらの車線変更が終わるやいなや追い抜いていく。ハイスペックな横顔を見ながら、こんな悔しい思いをするなら追い越し車線には一生はいらないぞと誓ってしまったくらいだ。

日本もぜひドイツの道路行政者を引き抜いて、日本の高速道路をアウトバーン化してほしい。日本の高速道路は3車線あってもダラダラとトラックが占領していて非効率すぎる。直線路が多いところは、追い越し160キロ(できれば無制限)、真ん中140キロ、左100キロで、トラックは追い越し車線禁止にしてほしい。もしそれができたら、高性能の車を買う価値がでてくる。日本だと高価なスポーツカーを持っていようが商用車と同じ扱いなので宝の持ち腐れも甚だしい。

それと日本だと高級車のオープンカーはあまりいないが、夏のドイツではかなりの数が走っている。高性能のオープンカーを運転する女性も多く、綺麗なワンピースに長い髪とサングラスで運転する様は殺伐とした超高速道路に花が咲いたようで見ていても楽しい。

 

ドイツもまだ2車線のところが沢山あって、それをすべてアウトバーン仕様の3車線に変更する工事がいたるところで行われている。この工事がよく考えられており片側2車線を通行止めにして工事をしている。残りの2車線と中央分離帯を4分割して走ることになる。当然レーン幅は通常よりも狭くなる。隣との隙間は50センチほどの空間しかないのに、右は80キロで走行し、追い越し車線の左を120キロですり抜けていく。もう見事なドライビングテクニックと驚くほかない。行政も車幅を狭くしても1車線規制にして低速化させないという強い意志が感じられる。

工事している車線と走行車線は分厚いコンクリートの壁で仕切られていて、レーン内で事故しても工事に支障がないようになっている。日本のようにプラスチックの三角ポールをたててそのすぐ横で作業したりしていない。あれはドイツ人からすれば作業員に対する非人道的な行為なんだろう。

そんなことを考えながら運転しているとあっという間にミュンヘンーハンブルグの700キロを1日で走破した。明日は、ハンブルグーオスロの800キロを走らなくてはならない。ドイツほど高速道路が整備されていないので時間はかかりそうだ。