120、シェンゲン協定と横断ルート(ブルガリア)1

EU加盟国であるギリシアからブルガリアへは、A25というハイウェイでいける。先に見える山を越えればブルガリアだ。

ところでヨーロッパはEU加盟国同士でも「シェンゲン協定」というもので、人や車の往来を制限している。ブルガリアはルーマニアとともに2007年にEU加盟国になったが、EU加盟国というだけでは他の国と自由に行き来はできない。自由に行き来するためには、EU加盟国でさらにシェンゲン協定を結んでいる必要がある。西欧を車やバイクで移動するときは、下図の「シェンゲン協定」の理解は重要になるので覚えていて損はない。

(シェンゲン協定)

(青はシェンゲン協定加盟国、黄色は現在非加盟だが今後加盟予定国。赤はEUだが、シェンゲンは非加盟。グリーンはシェンゲン協定は加盟しているがEUに非加盟。グレーはどちらも非加盟。)

EUに属していてシェンゲン協定を結んでいる国(ブルー)部分は、パスポートチェックもなく車の検問もなくスムーズに移動できる、車の旅行者にとっては天国のようなエリアだ。ほとんどひとつの国のように移動できる。

この図を見るとヨーロッパは元ソ連の南欧やロシアを信用していないというのがよくわかる。中世にヨーロッパ中を荒らし回ったヴァイキングのノルウェーは、その後スウェーデンと対立し他の北欧諸国を信用していない。EUの中でも超金持ちで頑固者のイギリスとスイスは、実はどこの国も信用していないのが色に現れている。信用していないということは、そこに出入りする旅行者を疑ってみていると考えていいので、僕のような商用バンに生活用品やバイクを満載した東洋人の車が国境を守る職員からどう見られているか想像に難くない。

イギリスのブレグジットが実行された今だとさらに「EU非加盟、シェンゲン協定非加盟」のロシア並のグレー国になってしまう。次に行くときは、車両をEUに預けてイギリスに渡ることになるのかもしれない。

そういうわけで、色の変わる国にはブルー同士のように簡単に出入国できない。イエローの国ブルガリアはヨーグルトくらいしかイメージがなく気楽に入国できるだろうと思っていたが、入国審査に思ったより時間がかかった。かなり入念に車両チェックされ、色々質問攻めにあったあげく、どんな目的で来たのかと質問されて、黒海の有名なド派手ビーチで泳いで、ルーマニアのトランスアルピナでバイクツーリングすると答えたら呆れた顔をしながらスタンプを押してくれた。

話はそれるが、ロシアを出たあと、どこのルートをたどってヨーロッパ最西端のルカ岬のあるポルトガルまで行くかを悩む人は多いと思う。過去の横断者達だと下記のような比較的安全なルートが多い。(約50日間〜)

日本(フェリー)ロシアフィンランド・エストニア・ベラルーシ→ポーランド→ドイツ→フランス→スイス→スペイン→ポルトガル

それを東欧・南欧ルートに変更するとかなり面白いルートになるので、僕はこちらもオススメする。

日本(フェリー)ロシアエストニア→ポーランド→チェコ&スロバキア→オーストリアルーマニア→ブルガリアギリシア→アルバニア→モンテネグロ→クロアチア(フェリー)イタリア→スイス→フランス→スペイン→ポルトガル

実は真面目で実直なポーランド・ドイツ・ベルギーを通り抜けていくよりも、ユルユルでお気楽な東欧・南欧のほうが安く百倍面白い。滞在日数も増え、盗難や交通事故などの危険も伴うが、ぜひこのルートも検討してほしい。(約70日間〜)

(ちなみに赤い矢印は入国審査が厳しいところ)